Prokumaの雑記

限りなく日記帳に近いブログ

なんとなく最近の韓国の不動産市場を見て思うこと

このブログでこのテーマは珍しいと思います。 僕の専門でもないし、そんなに興味なかったので見てませんでしたが、最近の韓国の不動産市場で興味深いことが起きていたのでここで紹介したいと思います。

韓国にしかない賃貸制度、「チョンセ(伝貰)」

普通賃貸といえば月いくら払って住む権利を得る、そういうものだと思います。もちろんそのような制度は韓国にも存在し、「ウォルセ(月貰)」といいます。 世界どこに行ってもあるような制度だとは思いますが、韓国にしかない、類似事例を探してみても十本指で数えられるくらいしかない制度があります。それが今回紹介する「チョンセ」です。

チョンセは、不動産を媒介とする金銭の貸し借りです。入居者は家主に買い切りの金額の一部を家主に貸し、利子をもらう代わりに家主がそのお金を返すまで家に住む権利を得ます。場合によって違いますが買い切りの6~9割程度だと思います。 韓国語で「セ(貰)」は、賃貸を意味します。国も認めている立派な賃貸契約です。

これを見てみなさんこう思ったのではないでしょうか。「家主は後に返さないとならない金額を借りて人を住ませるのか、普通に月毎にお金もらったほうがいいのでは?」と。まぁ、普通に考えたらそうですよね。固定的収入も得られないこのような賃借契約をなぜするのか、疑問に思ったのではないでしょうか。 この制度が定着した経緯は韓国が発展途上国だった時代に遡ります。1970年代韓国では、独裁政権による経済発展が進み、輸出に国のすべてを投入していた時代でした。当時の韓国の金利はすごく高く、一般的な銀行のローンの利息もアコムレベルでした。また、銀行にお金を預けるだけで利息が10%以上つくような時代でした。 そこで不動産を持っていた家主たちはこう思ったわけです。「家に人を住ませてお金を利息0%で借り、銀行に預けておけば儲かるのでは?」と。 定着したきっかけはこれですが、今回紹介した現象は少し違う話です。

金利時代への突入

コロナ禍が始まり、韓国銀行は利下げを断行しました。銀行でローンを組んでも利子負担がそんなに大きくなく、これを機に住宅を買う人が増えてきたわけです。今まで大きな利子負担を恐れてローンを組めなかった人も、ローンを組んで住宅を買う人が増えました。 これだけ見たらみんな幸せになったと、思ったかもしれません。しかし、これによって住宅購入の需要が爆発的に増えました。結局どうなったか、住宅価格が高騰しました。 韓国の不動産価格はその前から上がっていましたが、韓国銀行の利下げによりその上昇は爆発的になりました。ローンを組んでも家を買いたい人が増えたからです。

ギャップ投資

勘のいい人ならもう気づいたと思います。不動産価格がずっと上がるという期待、そしてチョンセという無利子ローン、ここで家主がやることはもう決まっています。既に持っている不動産でチョンセで金を借り、借りたお金でまた不動産を買うことです。どうせ不動産価格は右肩上がりなので、恐れる必要はありません。これの繰り返しをやればいいわけです。もしお金が足りなかったら金利の低いローンを組んで不動産を買えばいいです。 不動産価格は上がり続けました。チョンセは無利子ローンだし、国民の半数以上が集合住宅に住んでいる韓国の事情もあって人が住んでいただけでは不動産の価値は落ちません。上がった時に不動産を売って家主は結構なお金を稼ぐことができました。これを「ギャップ投資」と言います。この投資方法の本質を貫いている言葉とも言えます。これでみんなお金持ちになると思っていました。しかし、現実は違いました。

バブル崩壊

永遠に上がると思っていた不動産が最近暴落しました。韓国銀行がアメリカに沿って基準金利を上げ、ローンの利子も上がりました。自然とローンを組んで自分の家を買おうとする人も減りました。ローンとチョンセで借りたお金は不動産暴落により不動産を売り払っても返せなくなりました。 悲劇はここで終わりませんでした。「もっと不動産価格が落ちる」という期待があり、不動産の取引も減り、安く物件で出しても買ってくれる人はなかなか現れません。 「ギャップ投資」でお金を稼ごうとして無理にローンを組んでいた人たちは絶望しました。頑張って働いても返せないほどの借金を負うことになりました。これが僕が紹介したかった最近の韓国の不動産市場での出来事です。

自分が思うこと

バブルは世界的に何百年も繰り返して発生している伝統(?)です。正直どこでどのようなバブルが発生してもおかしくはありません。 バブルが発生した時はこれがバブルか否かを見抜くのは非常に難しいことで、バブルかどうかは投資した後に気づくのがほとんどです。 政府の規制は上手いこと動作しないと個人的には思っています。政府が上手くバブルを抑制できたとしても結局法が整備されていない他の分野でバブルが発生し、政府がそれを規制するまではものすごく時間がかかります。政府が手を出したときはもう遅いです。 政府を当てにしてはなりません。国家は対策を打つまで時間がかかり、対策を打つときはもう手遅れかもしれません。 一攫千金に対する欲望は誰にでもあります。その一攫千金の夢が集まってバブルを形成します。このバブルで一攫千金の夢を叶える人が存在するのは事実です。しかし、「価格上昇がこれからもずっと続く」という発想自体、非常に危険で、元手まで全部失うことになるかもしれません。 安易に一攫千金を目指し、「これからもこの現象はずっと続く」と安直に思ってローンまで組んで投資するのは非常に危険なことだと思ったできことでした。 今回は以上。