Prokumaの雑記

限りなく日記帳に近いブログ

目撃者として書いてみる韓国の高校生活と大学入試 / 第一編

ひさしぶりです。Prokumaです。 韓国の高校出身であったため、韓国の入試制度に関して訊かれることが多かったので、その答えのまとめを記事として時系列に沿って書こうと思います。

I. 高校一年

1. 高校入学

僕は仁川広域市所在の某高校に通っていました。仁川がどういうところか知らない方の為に簡単に説明すると、ソウルの西側にある都市です。横浜市千葉市さいたま市みたいなところですね。 仁川等の韓国首都圏では、一部の進学校を除くほとんどの進学校には、高校入試がありません。第一志望から第n志望まで書いて、抽選で進学する高校が決まります。 ごく一部の進学校や工業高校等では高校入試が存在しますが、この記事では大学入試に関して語りたいので、詳しい説明は省略します。 上で説明したほとんどの進学校は「一般高校」、ごく一部の進学校は「特殊目的高校、自律型私立・公立高校」、工業高校等は「特性化高校」と呼ばれています。本記事では、このような用語を使うため、予め説明しておきます。 「特殊目的高校」「自律型私立・公立高校」は違うものですが、詳しい説明は本記事で目的としていないため、省略します。「頭のいい高校」という理解だけで十分だと思います。 僕は有能な学生ではなかったため、家から徒歩10分程度の距離にある普通の進学校に進学することを決めました。

僕が住んでいる福岡県では、朝課外を行う学校が存在し、辛かった朝課外の経験を語る周りの人が存在したのですが、僕が住んでいた仁川では朝課外はありませんでした。 僕が入学する前に廃止されたそうです。ですが、「夜間自律学習」というものは相変わらず存在しました。 「夜間自律学習」とは、夜に学校で自習を行うことを意味します。隣のソウル市では、学校側が「夜間自律学習」を強制するのは禁止されたらしいですが、仁川では(少なくとも僕の出身高校では)強制されました。 入学した翌日からこのような夜の自習が強要されました。これが僕の高校に対する初印象でした。

2. 当事者から観察者へ、立場の変化

僕と少しでも絡んでいた方には既知のことかもしれませんが、日本のアニメが好きなアニヲタで、アニメやラノベ等から日本語を習い、ある程度の日本語力を持っていました。 高校一年に出会った日本語の先生から、「ある程度の日本語力を持っているなら日本への留学はどう?」と言われ、三週間ぐらい考えてそうすることに決めました。 今顧みるとそれが正解だった気がします。 もちろん受験勉強を頑張らなくていいわけではなかったのですが、これで韓国国内の入試に何の関係もない人になったので、当事者からただの観察者へ、僕の立場は変化しました。

3. 英語の教科書

日本も一緒だと思っていますが、授業で使われる教科書は、教科書として認められる書籍が存在し、その書籍の中で学校側から採用されたものであるはずです。 ですが、少なくとも韓国の高校の英語の授業では違います。もちろん、そういう教科書も存在しますが、実際の授業は所謂副教材で行われることが多いです。 EBSという、日本に喩えるとNHK Eテレのようなところで出しているスヌン(大学修学能力試験、大学入試試験のこと)対策向けの参考書がこの副教材として使われました。 教科書として採用された本は中学の教科書だけで勉強してきた自分も読みやすかったのですが、副教材の方は全く文章のいうことがわかりませんでした。 でも授業は主に副教材で行われます。「主たる教材が副教材」という、皮肉な状況でした。

4. 生活記録簿という存在

韓国の小学校、中学校、高等学校には「生活記録簿」というものが存在します。言葉通り、生徒の学校生活を観察し、教員が書いた記録です。 生徒を特定する個人情報、校内コンテストの受賞履歴、出欠、部活、読書履歴、各科目担当教員からの記録、担任からの記録等が入っています。 高校にだけ存在するものではありませんが、韓国の大学ではこのような「生活記録簿」の記録に基づいて評価を行う入試が存在します。 日本でいう「推薦入試」「AO入試」のようなものですが、日本とは違いこの入試が主な入試方法になっています。 生徒は、記録されるすべてに対して気にしなければいけません。大学合格に響きます。

学校側もなるべく多くの生徒をいわゆる名門大学に合格させたいわけなので、校内コンテストをできる限り開催したり、 教員が定期テスト以外の定性的な評価を行い、記録に残したりして成績だけではなく多方面で優秀な学生であることを見せつけるために努力します。 具体的な事例は二年生のところで述べたいと思いますので、ここでは省略します。

5. 内申点

韓国の小学校、中学校では絶対評価で成績評価を行いますが、高校では相対評価で成績評価を行います。 成績順に並べ、成績の高い方から一等級から九等級まで、n等級という形で成績がつけられます。 詳しい評価方法はこちらを参考して下さい。順序は逆ですが、ほとんど同じ方法で成績がつけられます。 このような評価方法は、「隣の友達と互いに助け合って入試という難関を突破する意識を薄くし、周りの競争者を沢山生み出す」という批判を受けていますし、 僕もそういうことを目撃しました。その事例は後編で述べたいと思います。